ぎふ省エネ相談地域プラットフォーム事業

支援地域

岐阜県

月次報告書

平成27年 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 , 平成28年 1月

基本情報

〒500-8505
岐阜県岐阜市薮田南5丁目14番53号
ふれあい福寿会館10階

058-277-1080
http://www.gpc-gifu.or.jp

目指す世界

課題意識

美濃地域の製造業だけでなく、飛騨地域の旅館・ホテル業といったサービス業の観点からも、省エネルギー対策の専門家とのネットワークを構築することで、省エネルギー面での体系的な支援強化が課題となっている。


この課題に対する詳細は、以下のとおり。

【背景-1】機械部品の製造業

岐阜県の県南部に位置する美濃地域(特に、西濃・岐阜・中濃)は、工作機械・自動車・航空機部品をはじめとした機械部品のモノづくり中小企業(いわゆる町工場)の集積地である。その多くは、最終製品メーカーのもと、一部の部品の加工・組立てのみを行う2次、3次、4次の「下請け型」の中小企業である。

リーマンショックからアベノミクス以前の円高局面では、親企業からの発注を勝ち取るためには、たとえ国内であっても中国・アセアン諸国の海外メーカーとの熾烈なコスト競争が「当たり前」の状態であった。このため当センターでも「モノづくり現場カイゼン力強化研修会」や「企業への5S・ムダ取りの専門家派遣」を通じて、県内企業のコスト競争力強化を支援してきた。
一方、アベノミクス以降の円安局面では、コスト競争力が回復したことから、こと仕事量の面では、急激に回復し右肩上がりの繁忙な状況が続いている。

しかしながら、県内に多い2次以下の下請けメーカーでは、親企業からの発注単価は、依然下げ止まったまま。単価アップの兆しは見えず、逆に、東日本大震災以降の電力価格の高騰、さらに追い討ちをかけるような円安によるエネルギーコスト上昇が重なり、逆に、利益確保の面では、苦しい状況が続いている。

これまでの「5S・ムダ取り」といった手法での改善効果も一巡したこともあり、中小企業の現場においては「省エネルギーの推進」を図ることもコスト競争力を高めるうえで、避けては通れない喫緊の課題となっている。

【背景-2】窯業・陶磁器製造業

同じく美濃地域の東部に位置する多治見市・土岐市・瑞浪市を中心とした東濃地域は、茶碗・皿などのテーブルウエア、タイル・工業用セラミック等の窯業・陶磁器産業が、地場産業として盛んな地域であり、窯業関係のモノづくり中小企業の集積地である。 

窯業では、焼成のためのガス炉を利用するなどエネルギー消費の多い業界でもあることから、同じく東日本大震災以降の電力価格の高騰、円安によるエネルギーコスト上昇の影響を大きく受けている。

従来、この地域への支援としては、デザイン・マーケティング面での支援を通じ、製品の付加価値向上、すなわち「魅力ある製品」作りを通じて、「高くても売れる製品」作りを支援してきたが、消費者の「相場感」や「値ごろ感」以上に値上げすることは難しい面もあり、利益確保の面では、苦しい状況が続いている。

【背景-3】観光(旅館・ホテル業)

岐阜県の飛騨高山地域は、歴史的にも有名な観光・温泉地として多数の中小規模の旅館やホテルが集積し、地域産業の大きな役割を担っている。

この業界は、ある意味、冷暖房・照明等の設備産業でもあることから、同じく、昨年度からの電力価格上昇は、経営面で大きな課題となっており、顧客サービスを維持しながら節電を図ることが急務となっている。

製造業と異なり、業務分野での節電・省エネルギー活動は、十分浸透していないのが実態であり、省エネ活動のイロハから支援していく必要がある。また、下呂から高山地区までは、有名な温泉観光地であり、この地域をモデル的に支援することは、岐阜県下の他の業務分野への波及効果が大きいと考える。

【当センターでの省エネルギー面での支援と課題】

こうした背景がある中で、平成26年度の補正予算として、省エネルギー関連の補助金が計上されたこともあり、上記に挙げた業種を中心に省エネ関連・補助金の問い合わせ・相談件数が急増している。

このため当センターでもモノづくりコーディネーター(経営相談窓口となる経営・技術相談員)16名が、省エネ関連・補助金の情報提供や申請書作成にあたっての助言・アドバイスを行っている。

しかしながら薄利状態が続き、設備投資の資金捻出に苦労している企業も多いことから設備投資の「短絡的な解決策」として「場当たり的」と思われる問い合わせ・相談も少なからず見受けられる。

こうした企業に対しては、単なる補助金の支援ではなく、もう1歩・2歩踏み込んだ支援が必要と思われるが、当センターでは、経営・開発・生産技術面での専門家は、多数擁するが、その一方で、省エネルギーの専門家は不足しており、こうした取り組みは、現状できていない。
このため省エネルギー面での専門家とネットワークを構築することで「費用対効果の高い計画的な省エネルギー対策のアドバイス」や「自立的な省エネルギー活動の定着」など、省エネルギー面での体系的な支援強化が課題となっている。

長期目標

岐阜県における中核的な経営相談窓口として、岐阜県庁策定の「岐阜県次世代エネルギービジョン」の実現に向け、連携・協力するともに、その大前提となる省エネルギー対策についてもあわせて推進する。

このため本事業を通じて得た知見をもとに、「実効性の高い体制づくり」や「省エネルギーに関する支援ニーズの把握」それに伴う「支援施策の立案・提言」を継続的な取組みとして進め、省エネルギー面においても、岐阜県内の中核的な相談窓口を目指す。

【岐阜県次世代エネルギービジョン】

岐阜県次世代エネルギービジョンとは、新興国のエネルギー需要の急増など、深刻化するエネルギー問題や、地球温暖化対策などの環境問題に適切に対応するため、太陽光、風力、バイオマスなどの「新エネルギー」だけでなく、燃料電池や蓄電池、電気自動車といった「最先端のエネルギー技術」を活用するとともに、その大前提となる「省エネルギー技術」を組み合わせることにより、本県におけるエネルギー利用の将来像を定量的に示すもの。

具体的には、岐阜県内のエネルギー消費量(原油換算)を、無対策の場合に比べ2020年で14.5%、2030年で30.5%削減することを目指し、新エネルギーや最先端のエネルギー技術の導入コストを最小限に抑えるためにも、まずは、省エネルギーによって、消費する総エネルギー量の削減に取組むとともに、次世代エネルギー面での具体的な目標値を掲げ活動している。

表:次世代エネルギー導入目標値

年度 2015 2020 2030
EV・PHVの導入 16,000台 156,000台 629,000台
太陽光発電の導入 60,000世帯 75,000世帯 次世代エネルギーインフラに移行
次世代エネルギーインフラの導入 65,000世帯 307,000世帯

補助事業期間における目標

上記の長期目標達成のための取組みの基盤となる下記の目標達成を目指す。

(1) 省エネルギーの専門家とのネットワークを構築し、より実効性のある体制づくりを行う。

(2)「省エネルギー診断」や「診断後の省エネルギー対策」に対して、自立的に省エネルギーPDCAを回すため課題や成功事例を把握することで、今後の効果的で具体的な支援方策(例えば、省エネルギー活動の進め方、補助金申請の支援方法等)につなげる。

PF体制図

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